サメは猫より頭がいい!
『サメは猫より頭がいい!』を買う

まえがき

 まず、『サメは猫より頭がいい!』という題名を見かけて、「なんだそりゃ?」と書店でこの本を手に取ってくださった方、ありがとうございます。では、そのまま本をしっかりとお持ちいただいて、くるりとレジのほうを向き、まっすぐ前にお進みください。列ができていれば、列の最後に静かにお並びください(笑)。

  さて、強引な商売をする前に、なぜ今サメなのか? 私がサメに注目したのはなぜなのか? ということをお話したいと思います。

  サメが地球に誕生したのは4億年前で、人類が誕生したのは、わずか2万年前にすぎません。サメは、恐竜が暴れていた時代も、氷河期で地球上の生物が寒くて身震いしていた時代も生き続けてきたのです。

  だからこそ、人間はサメに興味を抱き、サメは何百年も前から、海洋学者を筆頭にサーファーや釣り人、ダイバーたちの間で注目され続けてきたのです。そして、いつの時代もその魅力を追求しようと、多くの人たちがサメの研究に関わってきまし
た。

  長い年月ののち人間は、自分たちよりも何億年も先に誕生したサメから、この星で生きていくためのさまざまな知恵を授かりました。人間は、陸で生活しながらも海に潜って食べ物を探し、心のよりどころの場所としても海を求め、海辺に住居を構えたりしますが、それもこれも、人間もサメ同様、「海の出身」だからでしょう。となる
と、人間が地球の大先輩のサメから学ぶことが多いのは、当然のことかもしれません。

  本来、サメのイメージというのは、「速い、でかい・凶暴」というのが一般的で、ポリネシアや日本などでは、「海の守り神」という神聖なイメージもあったりするわけですが、どれもこれも人間からは遠い存在に思えます。しかし、実際のサメというの
は、意外と身近な存在だったりするのです。

  たとえば、本文にも出てきますが、サメの体の一部が、人間の病気の治療や健康に役立っていたり、身の回りの日用品に使われたりしています。「サメの体の一部を使うなんて、そんなの昔の話でしょ」と思った方、いやいや現在でも普通に使われています。あなたの気づかないところで、今日もサメが大活躍しているのです。

  現代の科学者の間では、「自分たち人類はもう進化しつくし、もう他の生物から学ぶものはない」とか、「人類は辿り着くべき場所まで行き着き、その挙句に宇宙に飛び出し、新たなる生命を探し始めることになった」などと囁かれているようですが、本当に地球上の生物からは学ぶことはなくなったのでしょうか。

  私はこの本で、「怖くない、親しみやすいサメ」「フヌケでない、噛みごたえのあるサメ」「難しくない、やさしいサメ」というコンセプトで、サメを身近に感じてもらおうと筆を執りました。でも本当は、サメという地球の「大先輩」からいただいた、行き詰った「後輩」への生きるメッセージをお伝えしているのかもしれません。

  この本を通じて、皆さんの人生に、ささやかな潤いをもたらすお手伝いができることを願っています。ぜひ楽しんで読んでみてください。


  2003年7月
  ロサンゼルスの自宅にて、ジョージ・オカガキ


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著者:ジョージ・オカガキ
出版社:ゴマブックス